金型のクリアランスとバリ発生の関係
金型加工におけるクリアランスとバリの関係性は、プレス加工の品質を左右する重要な要素の一つです。
製品にバリが発生する根本の原因の多くは、クリアランスの設定不良や摩耗にあります。ここでは、金型加工におけるクリアランスの基本的な仕組みとバリが発生するメカニズムを解説します。
クリアランスとはなにか、なぜバリが発生するのか、クリアランスの大小がバリにどう影響するのかを把握することで、適切な対策をとれるようになるでしょう。
金型におけるクリアランスを解説
クリアランスとは、金型のプレス加工時にパンチ(上型の刃)とダイ(下型の穴)の間に設けられる隙間のことです。この隙間は、材料を効率的にせん断するためには欠かせません。
クリアランスの役割は、パンチが板材に食い込む際に材料内部に亀裂を発生させ、その亀裂を成長させることでスムーズにせん断を完了させることです。
適切なクリアランスがないと、材料に無理な力がかかり、金型の破損や製品不良の原因となります。
クリアランスには、片側クリアランスと両側クリアランスがあります。片側クリアランスはパンチの片側とダイの間の隙間を指し、両側クリアランスはその二倍の値です。
金型にバリが発生する原因を解説
バリは、金型のプレス加工のせん断工程で必然的に発生する現象です。
パンチが板材に押し込まれると、切断面にはダレ面、せん断面、破断面、バリ面という四つの層が形成されます。
ダレ面は材料が丸く変形した部分、せん断面はパンチの刃で切断された滑らかな部分、破断面は材料が引きちぎられた粗い部分、そしてバリ面が突出したバリ部分です。
クリアランスが小さすぎると、パンチとダイが材料を二重に切断する二次せん断が発生し、ヒゲ状の細かいバリが多数形成されます。
逆にクリアランスが大きすぎると、破断面の傾き、ダレ面も大きくなり、バリが顕著に発生しやすくなります。

金型のクリアランスを調整してバリを削減する対策
金型におけるバリ問題を根本的に解決するには、クリアランスの適正化が欠かせません。
バリが大きくなる原因は、初期設定の誤り、金型の経年劣化、芯ズレなどさまざまですが、多くの場合、クリアランスの調整や金型のメンテナンスで改善が見込めます。
ここでは、現場で実践できる具体的な対策として、適正クリアランスの再設定、金型の刃部の点検と再研磨、パンチ・ダイの芯ズレの修正といった三つの方法を詳しく解説します。
これらの対策を組み合わせることで、バリの発生を最小限に抑え、製品品質を安定させやすくなるでしょう。
適正クリアランスの再設定
適正なクリアランス値は、板厚と材質によって決まります。
クリアランス値は、金型メーカーや加工会社ごとに、長年の経験とトライアルから得た独自のノウハウを用い、材質の硬さ、延性、板厚などを考慮して設定されます。
硬い材質や高張力材ほどクリアランスを大きめに、軟らかい材質ほど小さめに設定されるのが一般的な傾向です。ただし、具体的な数値は、加工条件によって大きく異なります。
クリアランスの再設定をおこなう際は、まず現状のせん断面とバリの状態を観察し、クリアランスが小さすぎるのか大きすぎるのかを診断します。
そのうえで、段階的にクリアランスを調整しながら試し加工を繰り返し、最適な品質が得られる値を見つけていきましょう。
刃部の摩耗の点検・再研磨
金型のパンチとダイは、板材をせん断する際に刃部が摩耗し、クリアランスが徐々に拡大していきます。金型の刃部が摩耗すると、初期は適正だったクリアランスが大きくなり、バリの増大やダレの拡大を招きます。
摩耗の兆候は、バリの高さの増加、切断面の粗さ、製品の寸法精度の低下などです。
点検では、拡大鏡やマイクロスコープなどで金型のパンチとダイの刃部を観察し、丸みや欠けがないか確認しましょう。
再研磨のタイミングは、バリ高さが許容値を超えたとき、または製品の精度が許容値外になったときが目安です。
金型の再研磨後は、必ずクリアランスを再測定し、適正範囲内にあることを確認することも大切です。
パンチ・ダイの芯ズレ修正
芯ズレとは、パンチとダイの中心軸がずれている状態を指します。芯ズレが発生すると、クリアランスが左右で不均一になり、片側だけバリが大きくなる現象が起こります。
芯ズレの原因は、金型の取り付け不良、ガイド部品の摩耗、プレス機本体の精度不良などです。
修正する際は、まず金型の取り付け位置を調整し、パンチとダイの軸芯を合わせます。ガイドポストやガイドブッシュが摩耗している場合は、部品の交換が必要です。
修正後は必ず試し打ちをおこない、左右のバリが均一になっていることを確認しましょう。
定期的に軸芯の精度を点検することで、クリアランスの均一性を維持でき、バリの片寄りを防止できます。

金型のクリアランス不良によるバリ問題の診断方法
金型のバリ問題を効果的に解決するには、まず現状を正確に診断し、クリアランス不良のタイプを特定することが大切です。
バリの形状、高さ、発生位置を観察することで、クリアランスが小さすぎる、大きすぎる、または左右で不均一といった、いずれかであることを判断できます。
診断の基本は、製品の切断面を拡大して観察し、ダレ面・せん断面・破断面・バリ面の比率を確認することです。せん断面が過度に多い場合はクリアランス不足、破断面が大部分を占める場合はクリアランス過大の可能性があります。また、片側だけバリが大きい場合は芯ズレが疑われるでしょう。
このように切断面の状態を観察することで、どのタイプのクリアランス不良かを特定できます。診断結果に基づき、金型の刃部の再研磨や芯ズレ修正といった、適切な金型のメンテナンスを実施できるようになるでしょう。

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